鳥と柘榴の絵付けが秀逸なカップ&ソーサー

老料色絵花鳥柘榴図カップ&ソーサー

このカップに描かれた柘榴の実のぼかしの手法は、筆を使った点描でぼかすという大変な手間と技術です。

自分で絵付けをしてみてわかったのですが、点描を筆で描くことはとても難しいのです。

点を丸く描くことだけでも素人には難しい作業ですから、点描でぼかすことがどれほど大変なことか。

素晴らしい材料を使い、ろくろ師が丹精込めて美しいフォルムを作っている、そこに描く絵は自分で描ける最高の技で描こうという気持ちが伝わります。

かかわっている作り手がお互いに尊重しあっているからこそ出来上がったおだやかな美しさです。

 

描かれている柘榴は男子多産の象徴。家族の繁栄を願います。

柘榴の実をついばんでいる鳥は綬帯鳥。

綬帯鳥は綬(shou)と寿(shou)が同音であり、帯(tai)は代(tai)と同音で寿が永代続くことを表す吉祥の鳥です。

鳥もうぶ毛まで細かく描いた精密な絵付けが大変美しく、見ていて飽きない作品です。

 

Honghaiの宮廷絵画を題材にした一連のシリーズは、静かでたおやかな美しさが特徴です。

美術的な価値の高さもさることながら、たずさわっている作り手の祈りが美しく輝いている、手にとって使って下さる方々の幸せを願う思いが伝わってくる作品たちです。