倣古とは、言葉の意味あいとしては、
読んで字のごとく、古(いにしえ)に倣うということになります。
しかし、景徳鎮磁器においては、
一つのジャンルとして「倣古」作品というものがあります。
これらは、日本でいう伝統工芸品と同じように、
代々受け継がれた伝統的な作り方を踏襲したものです。
「昔の作品を再現する」という作風の方向性から
レプリカと同列のものに捉えられがちですが、
高級倣古は、ただデザインや時代様式をまねたものではありません。
素材から製法まで、そのすべてを再現し、
当時の風合い、文化の気風まで表現することを目指す作品です。
生産過程そのものを当時のままに再現するという大変な労力をかけ、
代々受け継がれた高度な技術で作られた作品は、
時に骨董作品をしのぐ傑作を生み出すこともあるほどです。
高級倣古のうち、色絵作品を一例として挙げますと、
例えば上記写真の作品の場合は、
昔ながらの景徳鎮の磁土を
水車でついて作った素材をろくろで成形して胎をつくり、
それに天然鉱石の釉薬をかけて薪窯で焼成。
そこからさらに老料という天然鉱石から作った特別な顔料で
その時代の伝統的な絵付けを施したものになります。
こういった作品になりますと、
作れる職人の数も、作られる作品の数も限られますので、
市場にはあまり出まわることがありません。
そのため、手に入れるのが非常に難しくなっています。