お客様からいただくご質問で、「この器の容量はどのくらいですか?」
「このくらいのサイズの器はないですか?」というのがあります。
展示会などでもよく受けるご質問です。
この質問、したくなるのはわかります。
今自分の持ってるポットが300ccだから、100ccのカップならだいたい3杯分ね~、とか私もつい計算してしまいます。
でも、中には容量にこだわってご自分の探している容量でないものは見向きもしない方がいらっしゃいます。
景徳鎮の高級な手工の器は、決まったサイズがありません。
特に倣古作品は作品ごとに工房が違うので、大きさも材料もいろいろあります。
せっかく高価で手に入りにくい材料を使うのですから、大量生産のものと同じ大きさでは芸がないですし。
貴重な材料で作られた胎が先にあって、それに見合った絵付けをするプロジェクトが組まれたりします。
大きいものを作ることが出来ないほど希少な材料で作られた小さな杯もあります。
それを目にしながら、「探している大きさじゃないから」と手にも取らないのはもったいないなぁと思うのです。
容量で、はねてしまった中にもう二度と手に入らない貴重な作品があったら、損した!って思いませんか。
私はそう思ったこと、過去にあります。
貴重な材料を使い、さまざまな工程で専門の技術者が熟練の技を駆使して作り上げた本景徳鎮の作品。
実物を目にしたときには、大きさや容量にこだわらないで、ぜひ、胎のなめらかな美しさや焼き上がりの素晴らしさ、絵の具の発色や絵付師の筆使いに注目してご覧になってみてください。