去年景徳鎮に行って、さまざまな現場を実際に見て来ました。
その中で、気になったのは倣古作品の状況です。
今までも、最高の材料を使って最高の職人の手で作られた作品は大変数の少ないものでしたが、景徳鎮でも良いものがますます見つからなくなっています。
特に胎の良いものがほとんどなく、絵付けが手描きでも胎は台湾土を型抜きして鉋で整えたものばかりです。
薪窯で焼成した作品などはもう探してもないようです。
倣古作品の良いものが作られなくなっている理由のひとつには、市場の変化があります。
景徳鎮の市場が小雅のようにブランドを作ることに力を入れるようになって、腕の良い職人たちがそちらに行って倣古作品を作らなくなっているのです。
もうひとつは、職人の工賃が高くなって腕の良い職人たちが大金を手に入れたことです。
昔ながらの作り方をしている作業場は過酷な環境です。
空調は作品に良くないので、冬でも外気を取り入れるために窓が空いている状況で作業しています。
大金を手にした職人たちは、事業を始めたり投資をしたりして過酷な職人仕事はしなくなります。
倣古作品に関わる良い職人がほとんどいなくなっているので、良い作品もどんどん少なくなっているのです。
今後は、本当に良い倣古作品は手に入らない状況になりそうです。