【景徳鎮の絵付け】蝉-高潔なる理想の人格

 

蝉(せみ)は、不死あるいは死後の生を象徴します。
紀元前の春秋期に蝉を文様にした銅器が使われていました。
蝉は芋虫のような幼虫として数年を土の中で暮らし、
成虫になる時に地上に出て羽が生え空を飛ぶようになります。
その様子が人が仙人になって羽が生え、神仙世界に昇仙する様子とよく似ているので、
「羽化登仙」という意味を持ちます。
古代中国では死者の「羽化登仙」を願って、口に蝉の形をした玉を含ませて埋葬しました。
また、蝉は高い木の上で樹液だけを吸って生き、歌い暮らすので
「高潔清貧」という意味を持ちます。
隠者のように俗世を捨てた理想の人格を象徴します。
南北朝の時代、晋代の古書に、
「蝉は頭上に冠があり、容姿正しく、早朝清露を飲み、廉潔で至徳の虫」と記されています。