景徳鎮小雅窯の絵付け

小雅の絵付けに付いて、少しご説明します。

 

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小雅の絵付けの真骨頂は、染め付けです。
透明感のある最高級の白磁の素地に、
コバルトブルーの宝石藍がとても映えています。
この絵付けはすべてアンダーグレイスという手法で、手描きのものです。
ろくろで形を整えて乾かしただけの素材に
呉須と言われる泥絵の具のような材料で、
筆を使って細かい絵付けをするのは、
考えただけでも難しいことです。
絵付けの職人さんたちはどれほどの修行を積まれているのでしょうか。
その絵は、苦しい鍛錬の片鱗も見せず、
軽やかに、伸びやかに描かれています。


d0082972_1714823.jpg引退した特級絵師の作品です。
このクラスの絵師になると、1ミリの中に何本も筆で線を描けるそうです。
こういう柔らかい絵付けもとても技術がいるもの。
泥絵の具は濃淡が描いている時には分からないので、
どんな焼き上がりになるか黙視出来ないのですから。
ふんわり柔らかな表現ほど、技術と経験が必要なのです。
とはいえ、実物はもっとはっきりとした線で描かれています。
この絵が特にかすんで見えるのは、写真のせいでもあります。
上絵の具の金彩にどうしてもピントがあってしまうので、
釉薬の下に描かれた染め付けの絵にピントが合わないからです。
ぜひとも、実物を店頭でご覧頂きたいですね。


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同じ特級絵師の絵付けです。
これも写真のせいで、少しピンぼけになっていますが、
花びらの中に、線が何本も描かれているのがお分かり頂けると思います。
少し離れて見ると、ぼかしの表現で描かれているようにも見えるほどの細い線です。
この花びら、一番大きいものでも小指の爪ほどの大きさなのです。
これほどの技術を持った絵師は、景徳鎮広しといえども、
数えるほどしかいないそうです。
そんな素晴らしい職人の手で描かれているのが、
小雅の作品なのです。