現地に行っても景徳鎮磁器の良い品が手に入るとはかぎらない、そのわけは……?

迎茶で扱っている景徳鎮磁器の多くは、全手工(手作り・手描き)の作品です。

その一方、迎茶にてお買い上げいただいたお客様の中から、

景徳鎮まで行って探したにもかかわらず、

迎茶で扱っているような良い品を見つけられなかった、

というお話を耳にしたことも、これまで何度かありました。

どうして、景徳鎮まで行っても景徳鎮磁器の全手工の作品が手に入りにくいのか。

どうして、景徳鎮まで行っても見つけられないような作品が迎茶にはあるのか。

そのわけを、少しご説明しますね。

ちょっと長くなりますが、是非ご覧になってください。

 

昔から作られてきた全手工の作品ですが、

最近はそういった作品が中国国内で注目されていて、

良いものから、あっという間に買われてなくなっている状況だそうです。

全手工というのは手作りですから、なにしろ数が少ない。

中国の一部の富裕層の需要を満たす分だけでも数が足りません。

小雅の作品が中国国内で注目されて、

需要が供給を上回り、価格もどんどん上がっています。

にもかかわらず、できあがったら即完売。

この状況が、注目の高さと需要の大きさを物語っています。

それに加えて、今は中国の中間層もどんどん豊かになっています。

その結果、少し廉価な良い品でさえ、とても手に入りにくくなっています。

最高級のものもリーズナブルなものも、すぐに売れて無くなってしまうそうです。

 

手に入れるのが難しいのは、中国国内の市場や景気、消費者にまつわる理由だけではありません。

中国、あるいは景徳鎮独自の生産・流通工程にも、大きな理由があるのです。

何よりもまず、磁土採掘、砕石の段階から徹底されている

本物の全手工の作品は普通にお店には売っていません。

本物の景徳鎮は素材の鉱脈、産地も特定限定されます。

現地の業界人でも上層でなければ、生産現場も流通もわからないのです。

原材料から職人まで生産ラインと流通は全て富裕で特権ある工房に管理され

年商の大きな実績ある販売店と全国の会員制クラブ、

紹介のある個人客にしか品物が回らないのが現実です。

景徳鎮では、日本でいう、町のちょっといい目の瀬戸物屋さんが年商億単位なのです。

 

また、例えば全手工、老料手描きの作品などは

材料の調達から職人のラインまで作るのがとても大変で、

何もしなくても暮らせて、高給でひっぱりだこという職人そのものが富裕層化した現在、

隙を見ていい仕事をしてもらうのは至難です。

運転手付きの外車が来たと思ったらろくろの職人さんだったなんていうことがよくあります。

景徳鎮の最高級世界は、売上から生産現場までまったく日本の想像を超えています。

また、同じ工房の作品でも最初のロットは素晴らしくても、次のロットは別物になっていることも多々あります。

作品の善し悪しを見極める事ができないと、毎回良いものを手に入れるのは難しいのです。

なぜなら、デザインが同じでも似て非なるものがたくさんあるからです。

 

これだけ手に入れるのが難しい良い作品が、なぜ迎茶にあるのか。

これは、ひとえに小雅外事部長さんのおかげです。

外事部長さんは最初期から小雅の製作に携わり、その後もずっと関わってきました。

そして、そのことによって培われた、景徳鎮上層社会での信用、

中国文化に精通した良いものを見ぬく審美眼、教養がないと、

これほどの品を揃えることはとうてい無理なことなのです。

ぱっと見てどこの誰がどんな素材で作ったか、技術からコスト、職人の素養まで見抜けないと難しいのです。

 

そのうえ、小雅ほか育成中の提携窯元以外での特別良い作品は「これは」という工房に頼んでおいた外注品です。

景徳鎮に20年往来し、現在も折にふれて長期滞在している小雅外事部長さんでさえ、

材料調達と職人との折衝で困難を極め、

何度も渡航して二、三年かけてやっと詰めて出来上がるような作品もあるのです。

高度成長期にある中国は2~3ヶ月で大きく変化します。

景徳鎮の作品なども、以前あったものがすでに売っていなかったり、別物になっていたり、

売っていたところがなくなっていたりということがしょっちゅうです。

ですから、景徳鎮の全手工(手作り・手描き)の作品は一期一会と思っていただいたほうがいいですね。

そして、その傾向はますます強くなっているようです。

 

と、こうした事情と状況のなか、小雅外事部長さんが選び抜いた奇跡のような作品が、迎茶には並んでいるのです。

このようないいものを扱わせていただいているご縁に感謝しつつ、

より多くの方に、本物にふれていただけるよう頑張っていきますので、どうかよろしくおねがいします。